先日の診察で、「パニック発作とパニック障害は、どう違うんですか?」と質問を受けました。今回、パニック発作とパニック障害の違いについて、説明いたします。
【パニック発作とは】
突然「強い不安や恐怖」におそわれることをいいます。
動悸(心臓がドキドキする)、息苦しさ、めまい、胸の痛み、手足の震えなど、体の症状が一気に出てきます。多くの場合は10分以内にピークになり、その後しばらくすると落ち着きます。発作は1回だけで終わることもあります。
【パニック障害とは】
パニック発作がくり返し起こるようになり、「また発作が起きるのではないか」という不安(予期不安)が強くなります。その結果、電車やバスに乗れない、人が多い場所を避けるなど、生活に支障が出てしまう状態をいいます。
発作そのものだけでなく、「発作への恐怖」と「生活の制限」が大きな問題になります。
【 両者のちがいまとめ】
パニック発作:突然起きる「一時的な症状」
パニック障害:発作がくり返され、強い不安や生活の制限を引き起こす「病気」
【 治療について】
パニック発作が1回だけの場合は、必ずしも病気ではありません。
しかし、発作が何度も起こったり、不安や生活への影響が大きいときには「パニック障害」として治療が必要になります。
治療には薬(抗不安薬や抗うつ薬)や認知行動療法などが有効です。
適切な治療で多くの方が症状をコントロールでき、普通の生活に戻ることができます。
【まとめ】
パニック発作は「症状」、パニック障害は「病気」です。
発作がくり返され、不安や生活の支障が続くときには、一人で悩まずに医師へ相談してください。