-精神科コラム- 2026年8月

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パソコンやスマートフォンの使いすぎに注意!VDT症候群を防ぐ7つの対策 -2026年8月24日-

パソコンやスマートフォン、タブレットなどを長時間使っていると、「目が疲れる」「肩や首がこる」「頭が痛い」「集中できない」「なんとなくだるい」と感じることはありませんか?

こうした、画面を見ながら長時間作業することで起こる心身の不調は、一般に「VDT症候群 / Visual Display Terminal Syndrome」と呼ばれています。

仕事でパソコンを使う方だけでなく、スマートフォンやタブレットを長時間使う方にも起こります。


【VDT症候群は「目の疲れ」だけではありません】

VDT症候群というと、目の疲れを思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、実際には、

  • 目が疲れる、乾く、かすむ
  • 目の奥が痛い
  • 首や肩がこる
  • 頭痛がする
  • 腰や背中が痛い
  • 体がだるい
  • 集中力が低下する
  • イライラしやすくなる
  • 寝つきが悪くなる

など、さまざまな症状が出ることがあります。

特に注意したいのが、「疲れているのに休めない」という状態です。

パソコンで仕事をした後、自宅に帰ってからスマートフォンでSNSや動画を見る。そのまま寝る直前まで画面を見ている――。

これでは、目も脳も十分に休むことができません。


対策①「50分作業+10分休憩」を意識する

最も大切なのは、長時間続けて画面を見ないことです。

例えば、

50分パソコン作業 → 10分休憩

というサイクルを意識してみましょう。

休憩中は、パソコンから離れて立ち上がったり、少し歩いたり、窓の外を眺めたりしてください。

ここでスマートフォンを見てしまうと、目や脳が休まりません。

「休憩=スマートフォンを見る時間」ではなく、「画面を見ない時間」にすることがポイントです。


対策② 20分に一度、遠くを見る

画面を集中して見ていると、目のピントを合わせる筋肉が緊張し続けます。

そこで、作業中は時々画面から目を離して、遠くを眺めるようにしましょう。

「20分ごとに20秒程度、6m以上離れた場所を見る」という20-20-20ルールも参考になります。

毎回正確に20分を測る必要はありません。

「メールを確認したら窓の外を見る」「一区切りついたら遠くを見る」など、習慣にするとよいでしょう。


対策③ パソコンの画面を適切な位置にする

画面が近すぎたり、低すぎたりすると、目だけでなく首や肩にも負担がかかります。

目安として、画面は目から40~70cm程度離すようにしましょう。

また、画面の上端が目の高さと同じか、少し低い位置になるようにすると、首を大きく下に向けずに済みます。

ノートパソコンを長時間使う場合は、画面を高くして、外付けキーボードやマウスを使う方法もあります。


対策④ 「見えにくい」を我慢しない

小さな文字を目を凝らして読むと、目が疲れやすくなります。

文字が小さいと感じたら、パソコンやスマートフォンの表示サイズを大きくしましょう

「画面を拡大すると見やすいけれど、仕事がしにくい」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、無理に小さな文字を読むよりも、最初から見やすい大きさに設定する方が目への負担を減らせます。


対策⑤ 1時間に一度は立ち上がる

長時間座りっぱなしになることも、VDT作業による疲労の原因になります。

1時間に一度程度は立ち上がって、

  • 肩を回す
  • 背伸びをする
  • 首をゆっくり動かす
  • 少し歩く

などをしてみましょう。

トイレに行く、飲み物を取りに行く、コピーを取りに行くなど、仕事の中で自然に体を動かす機会を作るのもおすすめです。


対策⑥ 帰宅後は「画面から離れる時間」を作る

仕事が終わった後もスマートフォンや動画を見続けていませんか?

仕事でパソコンを使い、帰宅後にスマートフォンを使い、寝る前にまた動画を見る。

このような生活では、1日を通して目や脳が休む時間がほとんどありません。

疲れている日は、

  • 散歩する
  • 音楽を聴く
  • 入浴する
  • 家族と話す
  • 軽くストレッチする

など、画面を使わない時間を意識的に作ってみましょう。


対策⑦ 睡眠を削らない

VDT症候群では、睡眠も非常に重要です。

「仕事が終わらないから夜遅くまでパソコンをする」
「眠れないからベッドでスマートフォンを見る」

という生活が続くと、疲労がさらに蓄積してしまいます。

特に睡眠に問題がある方は、寝る30~60分前からスマートフォンやパソコンを見る時間を減らすことをおすすめします。

睡眠不足になると、翌日の集中力や仕事の効率も低下します。

すると仕事が終わらず、さらに長時間パソコンを使う――という悪循環になってしまいます。

「休憩は仕事をサボること」ではありません

忙しいと、「休憩するより仕事を続けた方が早い」と考えてしまいがちです。

しかし、疲労がたまると集中力が低下し、仕事の効率も落ちていきます。

そのため、

疲れてから休むのではなく、疲れる前に休む。

これがVDT作業では大切です。

休憩は仕事をサボるためのものではありません。

長く健康的に働き続けるために必要な時間です。

まずはこの7つから始めてみましょう

すべてを一度に変える必要はありません。

まずは、

① 50分作業したら10分休む
② 休憩中はスマートフォンを見ない
③ 20分に一度は遠くを見る
④ 画面を目から40~70cm程度離す
⑤ 1時間に一度は立って体を動かす
⑥ 帰宅後に画面から離れる時間を作る
⑦ 睡眠時間を削らない

この7つを意識してみてください。


目の疲れや肩こりだけでなく、**「仕事に集中できない」「疲れて何もする気になれない」「眠っても疲れが取れない」**といった症状が続く場合には、単なるパソコン疲れではなく、睡眠不足やストレス、こころの不調が関係している可能性もあります。

症状が長く続く場合や日常生活・仕事に支障が出ている場合は、無理をせず医療機関に相談しましょう。

心理相談(カウンセリング)とは~こころの悩みを一緒に整理する時間~ -2026年8月17日-

「最近、気持ちが落ち込む」「仕事のことを考えると不安になる」「家族や職場の人間関係で悩んでいる」「何となく生きづらさを感じる」など、日常生活の中ではさまざまな悩みやストレスを抱えることがあります。

こうした悩みについて専門家と話しながら、自分の気持ちや考えを整理し、これからどうしていくかを一緒に考えていくのが、心理相談、いわゆるカウンセリングです。

カウンセリングというと、「話を聞いてもらうだけ」と考える方もいるかもしれません。もちろん、安心して自分の気持ちを話すことは大切ですが、それだけがカウンセリングではありません。相談者が抱えている問題や気持ちを整理し、「何が自分をつらくさせているのか」「なぜ同じことで悩んでしまうのか」「今後どのように対応していけばよいのか」を一緒に考えていくことが大きな目的です。


【どのようなことを相談できるのでしょうか】

心理相談の対象となる悩みは、決して特別なものに限られません。

たとえば、仕事に関する悩みでは、職場の人間関係、仕事上のストレス、業務負担、異動や転職、休職・復職についての不安などがあります。また、家庭や人間関係についての悩み、将来に対する不安、自分に自信が持てない、気持ちをうまく切り替えられないといった相談もあります。

さらに、不眠や疲れやすさ、気分の落ち込み、イライラ、不安が続いているものの、「病院を受診するほどなのか分からない」という段階で相談することもできます。

「こんなことで相談してよいのだろうか」と思うようなことでも構いません。むしろ、問題が大きくなってからではなく、少し困っている、何となくつらいという段階で相談することにも意味があります。


【カウンセリングでは何をするのでしょうか】

カウンセリングでは、まず現在困っていることや、その背景にある状況について話をしていきます。

話をしていく中で、自分では当たり前だと思っていた考え方や行動パターンに気づくことがあります。また、「仕事が大変だからつらい」と思っていたものが、実際には仕事そのものよりも、「失敗してはいけない」「周囲の期待に応えなければならない」といった考え方が負担になっていることもあります。

このように、話をしながら問題を整理していくことで、これまで漠然としていた悩みが具体的になり、対応方法を考えやすくなることがあります。

必要に応じて、ストレスへの対処方法を身につけたり、物事の捉え方を見直したり、コミュニケーションの方法を考えたりすることもあります。場合によっては、生活リズムや睡眠、仕事と休息のバランスなど、日常生活そのものを見直していくこともあります。

大切なのは、カウンセラーが一方的に「こうすればよい」と答えを出すのではなく、相談者自身が自分の問題を整理し、自分にとってより良い方法を見つけていけるように支援することです。


【医師の診察とは何が違うのでしょうか】

心理相談と医師による診察は、似ているようで役割が異なります。

医師の診察では、症状や経過を確認し、必要に応じて診断や薬物療法などの医学的な治療を行います。一方、心理相談では、対話を中心に、悩みやストレス、考え方、人間関係、生活上の問題などを整理しながら、心理的な側面から支援します。

そのため、医師の診察と心理相談を組み合わせることで、より多方面から支援できる場合があります。

たとえば、気分の落ち込みや不安、不眠などの症状については医師が診察を行いながら、心理相談では、その背景にある仕事上のストレスや人間関係、考え方の傾向などについて一緒に整理していく、といった役割分担ができます。


【「話すこと」には意味があります】

悩みを抱えているときには、頭の中で何度も同じことを考えてしまい、問題を整理できなくなることがあります。

誰かに話してみることで、自分の気持ちを言葉にすることができ、「自分はこんなことで悩んでいたのか」「本当はこうしたかったのか」と気づくことがあります。

また、自分では当然だと思っていた考え方を少し違った角度から見直すことで、「必ずしも自分が悪いわけではなかった」「別の対応方法もあるかもしれない」と考えられるようになることもあります。

カウンセリングは、単に答えを教えてもらう場所ではありません。自分自身の気持ちや考えを整理し、今後の生活をより良い方向へ進めていくための時間と考えると分かりやすいでしょう。


【一人で抱え込まないために】

悩みがあると、「もう少し頑張ってみよう」「自分で何とかしなければ」と考えてしまうことがあります。しかし、一人で考え続けることで、かえって不安や悩みが大きくなってしまうこともあります。

カウンセリングでは、安心して話せる場で、自分の気持ちや状況を一つずつ整理していきます。すぐに結論を出す必要もありません。

「何がつらいのか自分でもよく分からない」という状態から始めても構いません。話していく中で少しずつ問題を整理し、自分に合った解決方法や今後の過ごし方を考えていくことができます。

こころの問題は、症状がはっきりしてから相談するものとは限りません。「少し気になる」「最近、以前とは違う」と感じたときに相談することも、こころの健康を守るための一つの方法です。

心理相談(カウンセリング)は、悩みを解決するためだけではなく、自分自身を理解し、これからの生活や仕事、人間関係について考え直すための機会でもあります。困ったときに一人で抱え込まず、誰かと一緒に整理してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

お盆休み明けに気をつけたい「睡眠の乱れ」-2026年8月14日-

お盆休みは、日頃の仕事から離れてゆっくり過ごせる貴重な時間です。一方で、夜更かしや朝寝坊、昼寝の増加、旅行などによって、普段の生活リズムが崩れやすい時期でもあります。

「休み中は夜更かししても平気だったのに、仕事が始まった途端に眠れなくなった」「朝起きられない」「日中に強い眠気がある」といった変化がみられる場合には、睡眠リズムが乱れている可能性があります。

【まず気をつけたいのは「寝だめ」】

休日に平日より長く眠ることは、睡眠不足を補うという意味では一定の効果があります。しかし、昼近くまで寝たり、休日ごとに起床時刻が大きく変わったりすると、体内時計が後ろにずれてしまいます。

特に、「明日から仕事だから、今日は早く寝よう」と急に就寝時刻を早めることには注意が必要です。眠気が十分にない状態で布団に入ると、「眠らなければ」という焦りが生じ、かえって寝つきが悪くなることがあります。

【仕事が始まってから眠れなくなることも】

休暇中は仕事の緊張やストレスから解放されていても、仕事が再開すると、翌日の予定や仕事への不安が頭に浮かび、寝つきが悪くなることがあります。

特に、

  • 布団に入ると仕事のことを考えてしまう
  • 翌日のことが気になって眠れない
  • 夜中に目が覚めて、その後眠れない
  • 朝早く目が覚めてしまう
  • 日中に強い眠気や疲労感がある

といった状態が続く場合には注意が必要です。


【「眠れないから早く寝る」が逆効果になることも】

睡眠障害では、眠れないことへの不安がさらに眠りを妨げるという悪循環が起こることがあります。

「昨日も眠れなかった」「今日こそ眠らなければ」と考えるほど、身体や脳が覚醒してしまいます。

そのため、眠気がないのに無理に布団に入るのではなく、朝起きる時間を一定にすることをまず意識することが大切です。


【お盆休み明けの睡眠リズムを戻すポイント】

休暇中に生活リズムが乱れてしまった場合も、一気に元に戻そうとする必要はありません。

  • 起床時刻をできるだけ一定にする
  • 朝起きたらカーテンを開け、日光を浴びる
  • 日中は適度に身体を動かす
  • 昼寝をする場合は長時間にならないよう注意する
  • 夕方以降のカフェイン摂取を控える
  • 夜はスマートフォンや仕事から少し離れる
  • 眠気が出てから寝床に入る
  • 休日も平日と大きく異なる生活リズムにしない

特に重要なのは、「朝を整える」ことです。 起床時刻を安定させ、朝に光を浴びることで、体内時計を少しずつ通常のリズムに戻していくことができます。


【数日で戻らない場合は要注意】

お盆休み明けの数日間だけ眠れない、朝起きにくいという程度であれば、生活リズムの変化による一時的なものかもしれません。

しかし、睡眠の問題が長く続き、日中の眠気、疲労感、集中力低下、気分の落ち込みなどが出てくる場合には、単なる「休み明けの寝不足」と考えないことも重要です。

【睡眠は、心身の状態を映す重要なサインです。】

お盆休み明けは、仕事の再開だけに意識を向けるのではなく、まず自分の睡眠リズムが戻っているかを確認してみましょう。無理に眠ろうとするのではなく、朝の起床時間を整え、日中に適度に活動する。こうした基本的な習慣を少しずつ取り戻すことが、良い睡眠への第一歩になります。

休職・復職をどう判断するか ―臨床医から見た「働ける状態」とは― -2026年8月5日-

メンタルヘルス不調で診療していると、「いつまで休めばよいですか?」「もう復職しても大丈夫でしょうか?」という相談をよく受けます。

しかし、休職や復職の判断は、単純に「症状が良くなったかどうか」だけで決められるものではありません。臨床医として重要なのは、その人が現在の状態で、仕事を継続的に行えるだけの心身の余力を取り戻しているかという視点です。

休職は「治療のための時間」

休職は、仕事から逃げるためのものではありません。

強い不安や抑うつ、不眠、疲労感などが続いている状態では、仕事そのものが症状を悪化させることがあります。そのような場合には、いったん仕事から離れ、睡眠や生活リズムを整え、治療に集中することが必要になります。

特に重要なのが、仕事をしていなくても一定の生活リズムを維持できるかという点です。

朝起きて、食事をとり、日中に活動し、夜に眠る。この基本的な生活が安定してくることは、復職を考えるうえで重要な指標になります。

「症状がなくなった=復職」ではない

診察室では「かなり良くなりました」「もう大丈夫です」と話していても、実際に仕事に戻ると再び体調を崩してしまうことがあります。

これは、治療が失敗したということではありません。

仕事には、集中力、判断力、対人関係への対応力、時間管理、ストレスへの耐性など、診察室では十分に確認できない能力が求められるからです。

そのため復職を考える際には、

  • 睡眠・生活リズムが安定しているか
  • 日中に一定時間活動できているか
  • 集中力や判断力が回復しているか
  • 疲労したときに休むなど、自分で体調管理ができるか
  • 通勤や勤務時間を想定した生活ができているか
  • 仕事上のストレスに対して、ある程度対処できるか
  • 再び体調を崩した際に相談できる環境があるか

といった点を総合的に確認します。

復職は「治療の終了」ではない

復職したからといって、治療が終了するわけではありません。

むしろ復職直後は、環境の変化によって疲労が蓄積しやすく、症状が再燃しやすい時期でもあります。

そのため、復職後しばらくは、業務量や勤務時間を調整したり、残業を控えたりするなど、段階的に仕事への負荷を戻していくことが望ましい場合があります。

臨床医としては、**「復職できるか」だけではなく、「復職後に安定して働き続けられるか」**という視点を大切にしています。

医師の判断と会社の判断は異なる

ここで重要なのは、主治医の診断書だけで復職が自動的に決まるわけではないということです。

主治医は、患者さんの病状や治療経過、日常生活の状況などを踏まえて医学的な判断をします。一方、企業側は、実際の職務内容、勤務時間、職場環境、業務上必要とされる能力などを踏まえて就業の可否を判断します。

したがって、復職については、

医学的に復職可能な状態なのか

という視点と、

現在の職務を安全かつ継続的に遂行できる状態なのか

という視点の両方が必要です。

大切なのは「働けるか」ではなく「無理なく続けられるか」

復職を急ぐあまり、十分に回復していない状態で仕事に戻ると、短期間で再び休職することがあります。

反対に、症状が安定しているにもかかわらず、「完全に元通りになるまで」と復職を先延ばしにすると、生活リズムが崩れたり、仕事から離れていることへの不安が強くなったりすることもあります。

だからこそ、休職・復職の判断には「0か100か」ではない視点が必要です。

休職は回復するための時間。復職は社会生活を取り戻すための一歩。

そして復職の本当の目標は、「初日に出勤すること」ではなく、その後も安定して働き続けられる状態をつくることです。

臨床医としては、症状の有無だけにとらわれず、睡眠、生活リズム、日中の活動性、認知機能、ストレスへの対処力などを総合的に評価し、その人にとって無理のないタイミングで復職を考えることが重要だと考えています。

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